誰でも使いやすい公共交通を

車を使わない生活をしてみると、中心市街地であっても不便を感じる事がたくさんあります。都会での地下鉄や市バスは拠点と拠点をつなぐように出来ているのに対して、鳥取では特にバス路線が乗り換え無しに直接目的地に向かうように出来ているために、特定の目的の人以外には逆に使いにくいものだからです。

ドアtoドア

県の統計によるとバス停までの距離が200m以上だと不便を感じ、500mを超えると使わないという方が多いようです。民間で運営されているバスの路線やバス停は利用者の要望と採算性によって決められるので、なるべく多くの要望を満たすように入り組んだ路地まで入っていく事になりますから、路線が伸びて移動に余分な時間がかかり、便数を多くすることは出来ません。

もちろんこれらの路線バスも市民の生活のために必要で、利用者数と採算のバランスで設定されているものですし、利用しようとする人に「ドアtoドア」を当たり前とする意識が強いので、乗り換えがあってでも誰にでも便利な路線を作るのは難しいからです。

中心市街地:くる梨の場合

くる梨は本来、市街地での利便性を求めて導入されたループバスですが、一つのループに色々な目的を詰め込みすぎた結果、慣れないものにはどれに乗ってよいかわからず、方向が合ってると思って乗ると予想外の所に行ってしまうといった「決まった利用者以外は不便」な名ばかりのループバスになっています。

ルートをシンプルに

例えば「緑ルート」のくる梨は、中心市街地を南北に巡回する物ですが、これを鳥取駅と県庁前を智頭街道と若桜街道で往復するシンプルなループにすると便数も増やせ、わかりやすくなります。県立博物館や武道館等へは県庁前から数百メートルと歩いても僅かですし、鳥取駅から南側は別のルートを作れば吉成や叶あたりまでカバーできます。

乗り換え可能に

同じように赤、青のルートも県庁や駅を起点とした、それぞれ東西のシンプルなループにすることで便数を増やした上で、乗り換え券など方法を工夫して相互の乗り換えを自由にすれば、利用する者が目的に応じたルートを組み合わせればよくなり、実質的に専用の路線が増えたのと同じ効果がでます。

周辺地域:拠点間市営バス路線の創設

気高、青谷、福部といった地域にはJRと連絡するコミュニティバスがありますが、JR路線を持たない地域へは個別の路線バスしか移動手段はありません。これら個別の路線バスは鳥取駅を起点としているものがほとんどですから、相互間の移動はとても限られたものになります。

例えば「温泉ライン」

例えば鳥取駅前から国体道路、湖山池南岸を経由して吉岡温泉へ、県道21号でそのまま鹿野へ、同31号でJR浜村駅へ温泉地を連結する路線を創設したらどうでしょう?それぞれのコミュニティバスの北側の拠点をJRが、南側の拠点を「温泉ライン」が横に結ぶ事になり利便性は格段にアップすると同時に、東西の交通を二重化することができるので防災上の観点からも有益なものになります。

夜間運行のもたらすもの

市議会の委員会での議事録に、中心市街地から周辺地域への夜間の交通手段確保を検討する事が書かれています。夜間の交通手段を確保すれば、飲食ののべ客数増加や雇用の促進を促す事が見込め、これは昼間の消費にもつながっていきます。空き店舗対策や賑わいを考えるのであれば、昼間だけではなく夜間の人の動きを考えた施策でなければ効果は限定的なものになります。